『考える脚 北極探検家が考える、リスクとカネと歩くこと』"Jambe Pensants -An Arctic Explorer Thinks of Risks, Money and Walking" by Yasunaga Ogita 読了

「考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと」 荻田 泰永[エッセイ](電子版) - KADOKAWA

デザイン:天野昌樹 校正:櫻井健司(コトノハ)地図:WindVector / Shutterstock(南極)Peter Hermes Furian / Shutterstock(北極)「序」と「あとがき」あり。2019年3月初版。読んだのは2021年8月の再版。

サインしてもらったので、どう感想書いたものか、筆が走りません。打ってるわけですが。ウィキペディア見ると北海道在住となっていて、こういう点が、昨日読んだ光浦靖子が言ってた、ウィキペディアの記事は、そうとう本人と近い距離にいる人物が情報元で書いてるようだが、当たってない、といわれる所以かと。あるいは、全然更新されてない。

荻田泰永 - Wikipedia

お店に、毎日詰めてると、体なまりませんかと聞きましたが、全然とのことで、店を閉めた後、どこかでルーティンのトレーニングでもしてるんだろうかと思いました。よく、それまで毎日野良仕事などで体を動かしてきた老人が、災害などで仮設住宅に入って一日ヒマになると体調崩すような、そういうことがないか聞いたつもりでしたが。

地球温暖化による?海氷激減について、事実のみをたんたんと綴っていますが、同時に、頁188ではカナダのイヌイットがやっているホッキョクグマ猟ガイドが、アメリカの法改正で上得意の米国人狩猟家が激減する中、遂に中国人狩猟家が現地に現れ、ガイドを募ったとか、頁254ほか、南極徒歩行の際に、観光化された南極大陸で、経験豊富なカナダ人ガイドを連れた中国人女性旅行者と遭遇したと書いてます。コロナカでその動きも中座してるんでしょうが、コロナカ終了後は増えそうなのかな。

頁231、間違った行動(ルート)をとった時、たまたまその時結果オーライでうまくいっても、そうなると次回、前回もうまくいったから今回もうまくいくだろうという思考回路が形成されて、最終的にはリスクを高めることにしかならないので、間違ったルートをとった時は、やはり引き返す、という箇所は、成程と思いました。

頁252、観光化された南極では、"Last Degree"と言われる、最後の一度だけガイド付きで緯度を超えるタイプの旅行が隆盛だとか。その反面、厳冬期の南極横断縦断は、いまだ前人未踏だそうです。北極のほうが南極より難易度は高いそうなのですが、南極の冬の横断はまだまだ困難なんだとか。

頁286、だんだんと組織を作っていって、スポンサーもつけて、資金的な問題をクリアしながら探検を続ける姿をつづっていて、プレゼンは説得術だが、自分はやりたいことをただ語っているにすぎない、とあえて書く場所など、こだわりがあるんだなと思いました。広告屋に集金をまかせると中抜きがあるだけでなく、どういう種類のお金が集まって、自分を動かすのか、それが分からないのでこわいとあります。最初のほうに、愛媛県出身の冒険家がスポンサーに手足を縛られたかのように、引くべき時は引く、命優先の鉄則を忘れたかのような行動で命を落とす場面をまず書いていて、ここもなるほどと思いました。

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帯裏。「序」より、とあるように、かなり冒頭の個所です。

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北極冒険家が三つの冒険で学んだ自由の本質 [三大冒険録] ◆北極点無補給単独徒歩の挑戦 ◆カナダ~グリーンランド単独行 ◆南極点無補給単独徒歩 [かんがえるあし] 梅棹忠夫山と探検文学賞 第9回受賞作 KADOKAWA

だんだん仲間が出来て、スポンサーがついてからはつくまでは(ついてからもしばらくは、なのかな)日本で半年働いて百五十万くらい稼いでから極地へ行く、の繰り返しだったそうで、バイトのほうがおもしろくなって正社員になったり、家族が出来たりで、定収入生活に入るとか、あるいは向こうで日本人イヌイットになるとか(パーセンテージは低いかもしれませんが)探検家を中座する要素はたくさんあったと思いますが、止まらなかったのだなあと思いました。意志だけでなく、人生の偶然もあると思います。

引き返せないポイントを、何と書いていたか、ポイントオブノーリターンか、ポイントトゥノーリターンか忘れまして、ぺらぺらめくりましたが、ページがどこか分からなかったので、検索しました。バイク漫画『キリン』にも出てきた言葉だと思います。ちょっと意味合いは違うのでしょうけれど。

ポイント・オブ・ノー・リターン - Wikipedia

以上