『泣いて笑ってスリランカ 体当たり紅茶修業の1年日記』末広美津代 "Tears and Laughs in Sri Lanka: A One-Year Diary of My Tea Training As Go for Broke." by SUEHIRO MITSUYO 読了

これもブッコフで買ったスリランカ関係の本。千円くらいだったかな。⇒¥1,155税込。今回購入の中では、いちばん私が事前に期待してた本。一年間プランテーションに住み込んで茶摘みの修業をする本だと勘違いしていましたが、当節の邦人女性(本書は2006年刊ですが)がそんな苦行のマネをするわけもなく、茶摘みの実践もするが、スリランカの著名な茶葉栽培エリア六ヶ所をくまなく回り、ぜんぶ近隣にホームステイし、著名なプランテーションもそうでないプランテーションも見学しテイスティングして、コネを作り、帰国後もちろん紅茶の会社を立ち上げるという、超やり手女性の一年間奮闘記です。

題名と著者名をシンハラ語タミル語にグーグル翻訳したのが下記。タミル語には「スエ」の音がないのか、著者の苗字がどうしても「ツヒロ」になってしまいます。

《ශ්‍රී ලංකාවේ කඳුළු සහ සිනහව
මගේ ප්‍රායෝගික තේ පුහුණුව පිළිබඳ වසරක දිනපොතක්》
සූහිරෝ මිට්සුයෝ

《இலங்கையில் கண்ணீர் மற்றும் சிரிப்பு
எனது தேநீர் பயிற்சியின் ஒரு வருட கால நாட்குறிப்பு》
சூஹிரோ மிட்சுயோ

アマゾンの煽り文句

「紅茶のプロになる!」29歳で会社を辞め一念発起、単身で乗り込んだスリランカでの出来事を、軽快なタッチで綴った異文化交流記。

版元ダイヤモンド社の煽り文句

紅茶に恋して、もっともっと知りたくて、やってきました紅茶の国へ。そこで出会ったのはおいしい紅茶と、人情味あふれる愛すべき人々。なんてすてきな国なの、スリランカ

泣いて笑ってスリランカ | 書籍 | ダイヤモンド社

買った本は帯なしでしたが、ダイヤモンド社公式の表紙には帯がついてます。「ポールポルポルポル」という茶摘みを始める前に歌う歌が帯の文句に使われています。

頁78

「ポールポルポルポルポル」

 それにつられて、プラッカー全員が、

「ポールポルポルポルポル」

 みんな、こうつぶやき始めた。手はまるで平泳ぎのときのように両手を前に出しては外に円を描くようにして胸元へ。そうしながら、徐々に茶の木の中に踏み込んでいく。あっけにとられる私。これは、お茶の木に感謝するおまじないなのだそうだ。

「私たちは、紅茶のおかげでご飯が食べられるし、紅茶のおかげで子供を学校にもやれる。紅茶のおかげで仕事ができるし、紅茶が人生そのものなの。今日もおいしい校舎が作れますように、という願いを込めて、茶摘みを始める前には必ずこう言うのよ。さぁ、ミツも言ってごらん」

イラストレーション●秋野純子 ブックデザイン●鈴木成一デザイン室

この茶摘み歌の動画を探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。

頁137。この人のすごいところは、現地に行ってまずアシがないとどうにもならないと実感したところで、まずこういうアメ車の中古をいきなり買って乗り回し始めるところ。「女だてらに」と思われたかどうか知りませんが、男尊女卑の現地の度肝を抜き、一目置かれるようになるのもむべなるかなという。すでにこの頃日本はAT免許派が増えてたと思うんですが、この人はマニュアル免許バリバリだったんですね。よく日本でも芸者入門する欧米女性がいて、郷に入っては郷に従えなのですが、それでもガンと天然で曲げない部分があって、その異文化ナントカがまた面白いのですが、この著者にはそれと同質なものを感じます。現地に完全同化せず、譲れないものは譲れないときちんと主張。そして、東條さち子サンより駆け引きはうまいかもしれない。

中表紙(部分)この人は2002年にもスリランカ茶の本祥伝社黄金文庫から出しているのですが、『そんな紅茶で満足ですか』という挑戦的なタイトルだったので、私もスリランカ関係の書籍を渉猟してる時に、う~んと思ってしまい、それでかどうか、本書ではマイルド路線に変更してます。イラストの著者像もやーらかい。最初この二冊が同一著者と私は認識してませんでした。

そんな紅茶で満足ですか : スリランカの本物の味と香りを楽しむ秘訣 (祥伝社黄金文庫) | NDLサーチ | 国立国会図書館

祥伝社公式に祥伝社黄金文庫のラインナップはなく、2023年9月の注文表が見つかっただけでしたが、『そんな紅茶で満足ですか』は既にないかったです。内容はふつうらしいですが、ハード路線タイトルはちょっと、と私も思いました。作者は(おそらく)ご結婚で改姓して、中永と書いて「なかなが」とは読まず「なかえ」と読む姓になっているのですが、そっちで増刷してるわけでもないかったです。

最近は夫婦別姓ばかり議論されていて、夫婦同姓の有名人を見る機会が減ったので、今回ひさびさに見れて、それもよかったです。

目次。作者の戦術がうまかったのは、こうやってだいたい二ヶ月ごとにちがう場所を訪れ、ホームステイ先も変えている点です。どうしても一拠点に長居するとホスト家族と軋轢が始まってしまうものなので、出だしのイイ感じの緊張感が残ってるうちに次へ次へという戦術は、かしこいと思う。どこでも名残惜しまれて次へ。

各章に扉絵があり、下記です。

茶葉プランテーションで働いているのはほとんどタミル人なので、そこで働くイラストの時には、現地でつけられた額の印が著者にも見えます。ウバとかヌワラエリヤとかは聞いたことがありましたが、マウント・ラビニヤとかルフナ、ディンブラ、いろんなところで紅茶を作ってるんですね。それと古都キャンディと実質?首都コロンボ

頁20。やっぱり本書でも男性は半裸。最近急に暑くなって、スリランカ料理店のオヤジに「暑いね」と言われたので「スリランカみたいにハダカになれないから暑い」と言ったら、日本はカラッとしてなくて湿度が高いから余計暑さを感じるんだみたいに反論してました。相手が正しい。

頁155。女性は着衣で水浴び。こういう文化から見ると、日本人女性がマッパで行水して覗き見される文化なんて、男性天国に見えるんだろうな。それはもう絶滅した文化ですが、まだあるかも片鱗とかと思ってインバウンドがオーバーツーリズムなわけでもないと思いますが。

スリランカも英国の影響からか知りませんが、女性は結婚すると夫の姓を名乗るようなので(絵本作家のシビル・ウェッタシンハサンしかその例を言えませんが)作者の人が現在もスリランカと紅茶の貿易でよい関係を続けているのに、改姓も寄与してる、かもしれません(そうでないかもしれない)

ホームステイ先はぜんぶで七軒。シンハラ人の家。英語がまったく通じない家。タミル人でベジタリアンの家。夫婦共稼ぎの家。上流階級の家。ムスリムの家。キリスト教修道院。と、最後にまとめてあるのですが、どこがどこだったかな、と自分なりに読み返したところで感想の筆が停まりました。どこでも、老婦人によくしてもらうという交流が描かれますが、類書より、邦人女性でも子ども扱いされず人格をいちもく置かれてるように見え、それはやっぱりゴツい車をマイカーとして乗り回してるからでは、と思ったりしました。チャンとホームステイの値段にも現地相場があることが書いてあるのは、じっさいに英語留学などでそれなりにホームステイがあるからだと理解しました。したことのある人にも会ったことがあるので。また、あちこちで現地で働く邦人女性とも会ってますが、すべて海外青年協力隊です。

6/21㈯の夜に、書きかけのこれしか思い当たらなかったので、あげました。後報は五日分かりません。