『竜女戦記 7 』都留泰作 "Commentaries on the Dragon Women's battle" vol.7 by Daisaku Tsuru 読了

夏ごろに買ったマンガ。その後、スリランカ水利史やペルーデカセギ30年史、理由のない場所といっしょに積み上げて放置してました。なんとなく、これまでの巻を読んで、マンネリかなあと思ってもいたので。しかし、何かがちがった。京都精華大准教授退官(56歳定年退職)が創作に与える影響はすさまじかった。あと、読むこちらも非常識な酷暑下でなく冬の農閑期、体力に余裕がある時期だったのも大きいです。あちらこちらに話が飛ぶのについてゆける。

ブックデザイン 鯉沼恵一(ピュープ) 2025年7月15日刊 書き下ろしのはず。

竜女戦記 乱世を生きる覚悟はあるか!? 予測不能の歴史ファンタジー、世界は広がり続ける! 平凡社

上は帯 右はカバー裏の内容紹介

初期のコピー「主婦が天下を取る」はもはやどこかへ行ってしまった感があります、というとそれはウソで、まだまだ有効なのですが、群像劇なので目立たなくなってることは確かです。

三人の子の命と取り戻すため、
最終目標である竜姫を
デクにしようとするも失敗した「たか」。
天下取りへの道は一転して振り出しに戻るが、
竜姫と天下の英雄とするため、
黒具足衆とともに
竜姫側に移ることを決意する。
そんななか、〈桜都〉〈鶴都〉の
戦いが始まろうとしていた。

モロ☆サンも女性の扱いが「しおしみ」の頃から極端にかろやかになりましたが(予兆は七仙姑)都留泰作サンもそうなのか、この巻の竜姫の軽やかさは眼を覆うばかりです。ビックリした。こんな投げやりでインカ帝国

女性陣はそれなりに画きわけが出来てるわけですが、クセのある猪首タイプの男性三人、どくだみ公とぬたうなぎと安藤があまりに似たり寄ったり(性格的にも)なので、夏に読んでたら区別がつかず、混乱してた気もします。冬に読んでヨカッタ。

頁49。章と章のあいだの白ページに入れたカット。たぶん二足の草鞋時代だったら忙しくて、ここまできれいに描く精神的余裕はないかったかも。あばら家だか納屋だかと、剪定してなさげな柿の木。だれも実をもがない。耕作放棄地か(ということは『ういちの島』取材時の写真を使ったのかも)生成AIかどうかは知りません。

頁43の場面と通じてます。

「蛇國」の外に大陸があり、そこに渡ればという義経ジンギスカン伝説ギャルみたいな場面と、古古古米流通時にヘンなコメをつかまされたのがヒントになったのか(京都はおそろしい)種籾がダメになって飢饉という頁142。南の島の女性の髪形もよかったです。やっぱり余裕って大事だなと。

驚きの番狂わせが陀国の歴史を変える 今後の大戦の趨勢を占うその緒戦、○ 灰蛇・黒蛇軍を思いもかけない悲劇が襲う。 2026年夏、第8巻刊行予定!! 定価1650円(10%税込) 殿 殿

帯裏。帯にラストシーンを載せてしまうのも、どくだみ公とぬたうなぎと安藤のどれだか分かんねえだろという余裕……なわけではないと思います。右の緑蛇公が持ってるのは六十尺五寸の大剣鬼切丸。

また太刀を振るうた! 鬼神じゃ 六十尺あるあの大剣 鬼じゃア ああも 振り回されては 近づけぬ・・・!

都留泰作サンのお子さんも娘さんだそうなので、これは何か心象風景なのかと思いました。『鬼滅の刃』に夢中と過去のインタビューで語っていたような。『ういちの島』も打ち切り?で、少子化で余裕がなくなった私大の窮余の策なのか、55歳定年制という、大手企業みたいなことになって、ヒマはあるけど懐が…という状態で、家族を支えねばならない家長の意地みたいなものが、ここに最終兵器として結実した。そう思います。

想えば、最近のマンガは、むかしのAKIRAとか巨神兵みたいな最終兵器彼女って、あんま見なくなったと思います。アンダーニンジャには沌という最終兵器彼女が出ましたが、あっけない終わり方だった。このまんがは、竜が巨神兵的活躍と滅され方をすでにしているのですが、この巻はそれに加えて非現実的な大剣が脇キャラによって自在に振り回され戦局を左右してしまい、こんな貧者の一刀アリかという大爆笑の展開になります。しかも大ゴマいっさいなし。面白かった。波動砲のむかしから、やはり最終兵器彼女が出るとカタルシスがある。さっきから変換がおかしいというウソをつくつもりもないですし、この世界の歌は五七五七かなあと頁139を読んで思ってみたり。

寝かせた甲斐があった。そう思いました。以上